2015年2月26日木曜日

ついに、雪ヒョウの撮影に成功!!

『雪ヒョウを探して』



何度も何度も山に入り、雪ヒョウの足跡を探し、追跡した。
相手は生きている野生の雪ヒョウ。
そう簡単に姿を見せてはくれない。
何度となく無駄足を踏みながらも諦めず、
雪ヒョウを見たい一心で真冬の山を歩いた。
山の静けさと暗闇、狼の足跡に恐怖を覚えながら。
それでも、追跡すればするほど、だんだんと近づいて来ている気がした。
諦めなかった。

そして、ついに足跡の先に何か動くものを見つけた!
一瞬、太い蛇が這っているのかと思ったが、それはシッポだった。
その直後、視覚が全体像をつかみ始める。
そこにいたのは、まぎれもなく雪ヒョウだった!



雪に映えるその美しい姿…。
雪ヒョウを見つけた喜びで興奮していたが、
同時に野生動物たるものへの恐怖心も込み上げてきた。
両者が入り混じった妙な興奮が自分の中で起きている。
やっとファインダーを覗くが、シャッターをきる手が震えていた。

そのうち雪ヒョウもこちらの存在に気づいた。
警戒はしているようだが、逃げたりはしない。
様子を伺っている鋭い目。
危険はないと判断したように、再び崖を登りはじめる雪ヒョウ。
崖の一番天辺まで来ると、猫のように地べたに身体を横たわらせた。
太陽の温かさに包まれるように。

空の青と雪の白。この二つのコントラストに雪ヒョウが浮かんだ。
そして、またこちらの様子を伺うように見ている。



しばらく続いた雪ヒョウと自分の対話。
こっちはお前を襲おうなんて考えてもいない。
お前も俺の血を吸おうなんて考えていないはずだ。
歴史的にも雪ヒョウが人を襲った記録はないと言う。
お前の近くにいたい気持ちもあるが、踏み込んではいけない自然界への境界線も意識にある。
相対する感情が交差しながらも、シャッターをきる。 
そのうち雪ヒョウは警戒もせず、居眠りをはじめた。
ふと我に返って下を見ると、遥か下方に自分のテントが見えた。
足跡を辿って随分上まで登ってきたのだった。

雪ヒョウは10分くらい寝ていただろうか。
こちらの動きを見て、いよいよ警戒したのかもしれない。
スクっと立ち上がり、こちらに背中を向けた。
雪ヒョウはゆっくりと歩き出し、崖の向こう側へと消えていった。

しばし雪ヒョウと共有した時間。
お互いを認めたような不思議な感覚が残っている。
もし雪ヒョウもそれを楽しんでいたとしたら、
最後に、あの太いしっぽで、”サヨナラ”と言ってくれたのかもしれない。


また会おう。


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Photography   STANZIN WANGBO
FEB. 2015

※雪ヒョウの写真はサイズを縮小しています

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